黒天のララバイ:03-天魔の悪戯
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第1話
──最前線96層主街区 広場 |
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はぁっ! | |
にょわぁーっ! | |
このっ! | |
ひにゃあー! | |
…………ちょっと | |
ん? どうしたの、エクレール? | |
あんた、逃げ過ぎよ。 デュエルの練習にならないでしょ。 ちゃんと向かって来なさいよ |
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ふっふっふ、これがあたしの 作戦なのだ。逃げ回って制限時間 ぎりぎりで一気に攻撃 |
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焦った相手は防御できずに あたしの一撃を受けてしまうのだー! |
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あ、制限時間が来たわ。 最初に一撃かすらせた わたしの勝ちね |
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ガーン! あたしの華麗なる逆転劇が…… |
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……あんたは攻撃の仕方を もっと覚えた方がいいわよ。 このままだとついていけなくなるわ |
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そうだね、もっと頑張らなきゃだね! 心配してくれてありがとう! |
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わたしは別に心配したわけじゃ ……まぁいいわ わたしはそろそろ行くから |
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行くって? ああ……主街区の 警備係って今日だっけ? |
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そうよ。あんたは小さい子たちと 素材アイテムを集めるんだっけ? 無理するんじゃないわよ |
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うん……って、あたしも 時間がやばかった! すぐに行かなきゃ。またねー! |
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………… いつ見ても慌ただしい子ね。 大きなドジを踏まなきゃいいけど |
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フン、なに他人の心配してるんだか。 他人の心配ができるほど 余裕なんてないのに |
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……早くエリスたちと合流して 《圏内》の警備につくとしましょう |
第2話
──幻悪の洋館・館内 | |
悪くないお屋敷ね。 なかなか住み心地がいいわ |
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主が討伐されちゃって 空家になってるなら 私がいただいてしまおうかしら |
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ふふふ、冗談はさておき、 そろそろ見つかったかしらね |
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カタカタカタカタカタ…… | |
あら、意外と早かったわね。 人間に取られてなくてよかったわ |
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あなたに貸した装備だけど、 使わなかったみたいだから 返してもらうわね、サキュバス |
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………… | |
いいわね。 この手に馴染む感覚、 とても心地よいわ |
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さてと、試し切りしてみましょうか | |
ちょっとそこのお前、 消えなさい |
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カタカタカタカラン──…… | |
こんなものか。 まぁ遊ぶにはよさそうね |
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楽しみだわ。あの人間の子たち どんな心地よい音を 奏でてくれるのかしら |
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ふふふ、待っていてね | |
○○…… |
第3話
○○さん | |
今日の警備は96層の主街区です。 モンスターが街へ入ってこないように しっかり見張っていましょう |
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ねえ、エリス。警備って言っても、 あんたたちとあたしとアネットと エクレールの5人だけど大丈夫なの? |
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はい、問題ありませんよ。 現在の各層の主街区にはベルのついた 柵が街の周囲に設置されています |
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モンスターが柵に引っ掛かれば ベルの音が街中まで聞こえてくるので その確認をしにいくのが主な仕事です |
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もしモンスターを 見つけた場合は、可能であるなら すぐに討伐するといった具合ですね |
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へぇ、少人数でも街を守れるように 一応の対策は取られているわけね |
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また、解決困難な異常が起きた場合は すぐに《血盟騎士団》へ 連絡するように言われています |
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上位ギルドに連絡して そこから各ギルドに 救援要請がいくわけね |
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そうです。それでも防衛が 困難な場合は 撤退するように言われています |
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撤退って…… 主街区を放棄するってこと? 危険じゃないの? |
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その襲撃自体が、少人数では 攻略できないクエストの可能性も ありますからね |
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そうなった場合は、後日、 大規模レイドによる主街区奪還作戦を 決行することになっています |
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無理して被害を出さないための 対処ってわけね |
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はい。重要なのは、 被害を出さずに この現状を乗り切ることですから |
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ただ、人員の関係上、警備できるのは 主街区や規模の大きな街のみで、 小さな街は野放しとなっています |
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《圏内》の消失した小さな街や村には モンスターや犯罪者ギルドが 潜んでいる可能性もあるってことか |
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はい。小さな街へ行く場合には 注意してくださいね |
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理解したわ。 それじゃあ、警備の任務に 当たりましょう |
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○○ | |
街に被害が出ないように 頑張りましょう |
第4話
さぁ、今からポーション用の アイテムを収集するわよ |
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ここには強いモンスターは 出ないけど、念のため 固まって収集しましょう |
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はーい! | |
って……ベティとエヴェイユだけ? ノエルとシャサは? |
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ノエルさんとシャサールさんなら あちらで一緒に お花を集めていますわ |
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収集アイテムじゃなくて 甘いお菓子を作る素材が あったから集めてるみたい |
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もぉ! あの二人ったら、 勝手に行動して! |
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二人とも、 何やってるのよー! |
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ちゃんとみんなで 一緒に動きなさい! |
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ルチアちゃん、 ノエルお姉ちゃんたちのところへ 怒っていっちゃったねぇ |
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真面目な方ですものね。 自由奔放なお二人を 心配してのことでしょう |
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向こうではクラスの代表だった なんて話もシャサールさんから 伺っていますわ |
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さて、わたくしたちも 参りましょうか。収集アイテムを しっかり集めますわよ |
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うん! エリスお姉ちゃんたちの分も しっかり集めるよぉ! |
第5話
はぁっ! | |
プーン…… | |
撃破完了ね。 お疲れ様、エクレール |
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なんてことないわよ。 柵に引っ掛かってるモンスターを 倒しただけだもの |
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警備って聞いてたから もっとモンスターがいるのかと 思ったけど、全然ね |
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平和なのはいいことよ。 この調子で街に不幸が 訪れないように頑張りましょう |
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……街の警備が 重要なミッションっていうのは 理解してるけど正直拍子抜けだわ |
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これならポーション用の 素材を集めてたほうが 退屈せずにすみそうね |
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そっちはルチアたちが やっているわ |
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出かけていくとき かなり張り切っていたから たくさん集めてきてくれるはずよ |
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……あんたの妹は、 あんたがお願いすれば いつも張り切ってるじゃない |
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それよりも、よかったの? 中層とはいえ、あの子たちだけで フィールドは危険じゃない? |
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あの子たちも強くなっているし、 あの辺りは強いモンスターが 出ないから大丈夫よ |
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それに、ノエルが一緒だから。 何かあってもなんとかしてくれるわ |
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ノエル? あの悪戯娘がいたら かえって危険だと思うけど…… |
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ふふ、そうね。 普段のノエルしか知らないと、 そう思ってしまうわね |
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……どういう意味よ。 ノエルに何かあるの? |
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そのうちわかるわ。 さぁそろそろ場所を 移しましょう |
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歩いている最中に モンスターに出くわすかも しれないから気をつけてね |
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……わかったわ。 今は警備に集中してあげる |
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けど、悪戯娘のこと、 あとでちゃんと聞かせてもらうからね! |
第6話
ふぅ……素材が かなり集まりましたわね。 そろそろ休憩に致しましょう |
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おお、名案だね! それじゃあ、 これと、これと…… |
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よし、これで 休憩セット、設置完了! |
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イスにテーブルにパラソルって… あなたいつも こんなもの持ち歩いてるの? |
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イエース! みんなで冒険してるときは すぐに休めるように常備してるよ! |
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ささっ、ルチア隊長は こちらにおかけください! |
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隊長じゃないわよ! まったく……呆れていいのか、 感心していいのか…… |
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フフ、とりあえず座ってみては いかがでしょうか。 すぐに紅茶をご用意しますわ |
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まぁ、そろそろ休憩する時間では あるわね。シャサと エヴェイユも呼んで来なくちゃ |
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それならあたしが呼んでくるよ。 おーい、エヴェちゃん! シャサちゃーん! |
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……行っちゃった。 ノエルは相変わらず元気ね |
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フフ、それがノエルさんの いいところですから。 どうぞ、紅茶ですわ |
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ありがとう、ベティ。 でも、あれで年上って 言われてもピンと来ないわ |
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あら、ノエルさんのお歳を ご存じなんですの? |
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え? エヴェイユが お姉ちゃんって呼んでるから そう思ってたんだけど、違うの? |
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エヴェイユさんは ご自身よりも背丈の大きな方に 敬称をつけているだけですわよ |
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まぁ、わたくしもノエルさんを 姉のように思ってはいますけれどね |
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うーん…年上だろうけど、姉って 感じではないのよね。わたしには ちゃんとした姉さんがいるもの |
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そういえば姉さん…… 前にノエルのこと妹みたいって 言ってたっけ? |
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姉さんよりは年下なんだろうけど、 ノエルに妹の座は渡さないんだから! |
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あら、面白そうな話ですわね。 ノエルさんたちが戻ってきたときに ぜひ続きを聞かせてくださいませ |
第7話
この辺りのモンスターは 片付け終わったかしら |
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はい。しばらくは 襲ってこないでしょう |
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それにしても、 急に数が増えてきたわね |
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ええ……普段はここまで 襲撃が増えることは ないんですけどね… |
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増えたところで問題ないわ。 向かってくるなら倒すだけよ! |
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はい。このくらいの数なら まだ支援を要請する必要は ありませんしね |
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カタカタカラン…… | |
また出てきたわね。 ん……? |
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どうしましたか、カーラさん? | |
エリス、今気づいたんだけど、 あの骸骨のモンスターって、 この辺りに出る奴だっけ? |
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え?…うーん、 記憶にはありませんね |
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あの骸骨……この間の 鉱山にいた奴らに似てない? |
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……まさか、ここにあのボスが? まだ反応はありませんが…… |
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もしかして、 ノエルたちのところに……? |
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あの骸骨はあたしが蹴散らしてくるわ。 そのあと、念のためアネットたちと 合流しましょう |
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カーラさん、お願いします。 ノエルたちにもメッセージを 送ってみます |
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警告が間に合うといいのですが…… |
第8話
ぐあっ! やられたー |
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はぁ……ノエル。 あなた本当に弱いのね |
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トランプで負けるの、 これで何回目よ |
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いやー何回負けたんだろうね。 あたしってば 顔に考えが出ちゃうからなー |
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って、あれ? メッセージ来た。 エリスからだ。なになに? |
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『そちらはどんな状況ですか──』 こっちはトランプを……はっ! まさか、サボってないかの確認? |
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………… 『順調に素材を集めてるよっ!』 これでよしっと! |
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ノエル、エリスさんは なんて? |
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定時確認みたいなものだよ。 何かあるかもしれないから 気をつけてって |
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さぁ、トランプの続きだよ! 今度はこっちの色のトランプね! 次は絶対に負けないから! |
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いいけど……あなた なんでトランプを いくつも持ってるのよ? |
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何かの悪戯に使えると思って、 常備しています! |
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……そうね。 あなたはそういう人だったわ |
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よーし、 もう一度勝負だよっ! |
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──なかなか面白い遊戯を しているわね |
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そうだよ。みんなでやると 楽しいんだ。よかったら 一緒に──って、どなた? |
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あなたは…… あの鉱山の奥にいた悪魔!? |
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あら、装備を変えたのだけど、 よく気づいたわね。 再会できて嬉しいわ、とてもね |
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こいつっ! | |
血気盛んな子は嫌いじゃないけど 少し落ち着いたら? 今日は いきなり壊しにきたわけじゃないから |
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私にも紅茶をもらえる? 仲良くお話をしましょう |
第9話
おいしい紅茶ね。 金色の子羊ちゃん、 あなたが淹れたの? |
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……あなたはどうしてここに いますの? あなたのいた 階層はここではありませんわよ |
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ふふ、私の質問に答える余裕は ないみたいね。いいわ、紅茶の お礼よ。先に答えてあげる |
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この連なる世界を行き来する方法は 何も塔を登って 守護者を倒すだけではないわ |
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人間には使えないルートを 私は知ってるの |
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……下層にいたエルフと 似たような方法で階層を 行き来できるというのですね |
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小さいのに察しがよくて 助かるわ。それを使って あなたたちを追ってきたのよ |
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そうまでしてやってきて、 あたしたちに何の用だ! |
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あなたたちは 塔の守護者を倒して、 上へと進んでいるのでしょう? |
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そして、もうすぐ最上層に 辿り着く…… それをやめてもらえないかしら |
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はぁっ!? 攻略をやめろってのか! |
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100層まで辿り着くと この世界が壊れる という言い伝えがあるのよ |
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だからやめてほしいの。 あなたたちだってこの世界が 壊れたら困るでしょう? |
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……どういう意味ですの? | |
あなたたちがどうなるかは 知らないけど、今のあなたたちの ままではいられなくなるわ |
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今は一緒だけど、離れ離れになって もう二度と会えないかもしれない。 違う? |
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それは…… | |
さっきまでのあなたたち、 とても楽しそうに見えたわ |
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その楽しさを壊したくないでしょう? 居心地よく、ずっと仲間で、 一緒に過ごしていたいでしょう? |
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………… | |
この世界を壊さなければ、 ずっと一緒にいられるわ。 だからやめましょう。攻略なんて |
第10話
お断りしますわ | |
確かにこの世界が終わったら 皆さんと会えなくなるかもしれない… けれど、皆さんとの絆は変わりません |
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たとえ会える時間が減っても 向こうに戻ったときには、より強固な 絆で結ばれていると信じていますわ |
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ベティちゃん…… | |
残念ね。人であるなら、 時として、甘美な堕落に 溺れてみるものよ |
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でないと、その小さな体に 入った心が壊れてしまうわ |
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昔のわたくしならそうでしょうね。 けれど今は、皆さんに強くして いただきましたから |
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強気な子羊ちゃん。まあ、その顔を 見られただけでも話せてよかったと 思うことにしましょう |
|
紅茶おいしかったわ。 ありがとう |
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…………! | |
残念……本当に残念だわ | |
おいしい紅茶が、 もう飲めなくなるなんて |
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…………! | |
ベティちゃん、危ない! ……ぐぅっ! |
|
ノエルさんっ!? | |
あら、鈍そうに見えたけど、 意外と早く動けるのね |
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騙し打ちのタイミングは 心得ているからね! |
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ベティちゃん、エヴェちゃん、 ルチアちゃん、シャサちゃん! 4人とも逃げて! |
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で、でも……! | |
早く行って! そんなに長くはもたないから すぐに応援を呼んできてね! |
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ノエルさん…… わかりましたわ。絶対 待っていてくださいね! |
第11話
あら、みんな逃げちゃったわね。 あなた一人だけ残って、 どうにかなると思っているの? |
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ふっはっは! それはどうかな。 どうにかならないと 思ってるのはあなただけかもよ! |
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存外強気ね。でもわかっているの? おしゃべりの時間は さっき終わってしまったのよ? |
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しゃべって時間を稼ごうだなんて 考えてないよ。 あたしが残った理由…こうは思わない? |
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あたしの武器はこの斧だよ。 周りに人がいると 思いきり振り回せないよね? |
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子羊ちゃんたちが 足手まといになるから 逃がした……そう言いたいのね? |
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なるほどね。一番弱そうに見えたけど 実は一番強かったってこと? |
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それとも、 虚勢を張っているのかしら? |
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その見極めは重要だよ。 侮って敗北なんて 格好悪いでしょ? |
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確かにそのとおりね | |
……○○だったかしら | |
あなたがあれくらい強いなら 確かに油断は禁物ね…… |
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ふっふっふ…… | |
(○○ありがとおぉぉぉ!) | |
(あたし、あなたの名前で 今、生きてます!) |
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(ちゃんと考えて しゃべってくれる NPCでよかったぁ!) |
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(カーソルが赤を通り越して 真っ黒なんだもん! あんなの勝てるわけないよ!) |
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(ベティちゃんたち、 ちゃんと逃げ切れたかな? 応援呼んでくれたかな?) |
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(○○、エリス……) | |
(早く助けに来てぇぇぇっ!) |
第12話
メッセージは…… 早く、早く…… |
|
これで、よし! | |
エリスさんにメッセージが 飛んだな! それじゃあ、 ノエルを加勢しにいくぞ! |
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待ちなさい、シャサ! 考えなしに行っても、 何の役にも立たないわよ! |
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そうですわ。以前でさえ、 わたくしたち二人で 手も足も出なかったのですもの |
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装備も変わっていましたわ。 おそらく、以前より強くなって いるはずですわ |
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じゃあ、どうするんだよ! ノエルを見捨てて このまま逃げるのか!? |
|
そんなわけないでしょう! そのつもりならさっさと結晶で 街まで飛んでるわよ! |
|
ここまで来たのは、 わたしの考えた作戦を 伝えるためよ |
|
いいこと、わたしたちは弱いけど、 4人いるわ。スイッチを繰り返して 攻守を入れ替え続ければ時間は稼げる |
|
危なくなったらノエルを連れて クリスタルで街まで離脱 |
|
その頃にはきっとエリスさんが 街に応援を呼んでくれているはずよ |
|
あいつが街までのこのこやってきたら 返り討ちにしてやりましょう |
|
なるほど、それならいけるな! | |
ノエルのことだから、今頃は 口八丁でうまくやっているはず。 すぐに4人で引き返しましょう |
|
あ、あの……ルチアさん、 非常に申し上げにくいのですが…… エヴェイユさんが見当たりませんわ |
|
え、えええっ!? あの子、もしかして 一人で引き返したの!? |
|
カタカタカラン…… | |
ルチア、ベティ! まずいぞ。 モンスターの足音が こっちに近づいてくる! |
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わたしの考えた完璧な作戦が 崩れていく…… うう、仕方ないわ。戦闘準備よ! |
|
向かってくるモンスターを ノエルのいるところに 近づかせないで! |
第13話
ふっ! | |
とわっ! たぁ! | |
ふっふっふ、そんなの当たらないよ! | |
ちょこまかと…… 回避するのはうまいようね |
|
それなら、 深く入っていくまで |
|
わわっ、急に速く……! 避けきれない!? |
|
これで、終わりよ! | |
──なんてね! | |
たぁっ! | |
なっ!? ぐっ……! | |
子羊は全員逃げたはずでは… なぜここに一匹残っているの? |
|
気配を消して しずかぁに戻ってきてたんだよぉ |
|
回避したあたしの後ろに 隠れてたから 注意がいかなかったでしょ? |
|
……小賢しいマネを弄して くれるわね |
|
絆の力だよぉ。 ノエルお姉ちゃん、 あたしもいっしょにたたかうよ |
|
エヴェちゃん…… わかったよ。でも危なくなったら すぐに逃げるんだよ |
|
うん! いっしょに あくまさんをやっつけちゃうぞぉ! |
第14話
ベティさんからメッセージ!? これは…… |
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どうしたの、エリス? | |
……ノエルがピンチのようです。 あの子、ちょっと前のメッセージでは 順調と言っていたのに……! |
|
数分の間に事態が一変したようね。 それならすべきことは一つよ |
|
○○、エリス | |
あなたたちはノエルのところへ 行ってあげて。 ここは私たちで何とかするわ |
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しかし、先程から骸骨のモンスターの 量が激増しています。応援が来るまで まだ時間がかかりますよ |
|
それでもあたしたちだけで 問題ないって言ってるのよ |
|
あたしたちだって強くなってるのよ。 見くびってもらっては困るわ |
|
それに、離れたところでひたすら 骸骨を狩り続けてる 意地っ張りもいるしね |
|
誰が意地っ張りよ! | |
あら、姿は見えないけど 聞こえてたみたいね。 とにかく、ここは3人で充分よ |
|
これはきっと例のクエストの続きよ。 大本の堕天使を叩くまで、 骸骨は出現し続けるわ |
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だから、私たちを助けるためだと 思って……行って |
|
……わかりました。 すぐにノエルの元へ向かいます! |
|
アネットさん、カーラさん、 エクレールさんも 持ちこたえてください |
|
もちろんよ。ほら、行きなさい | |
はい、ありがとうございます! | |
○○さん | |
行きましょう、ノエルを助けに! |
第15話
とりゃあっ! | |
……くっ | |
なるほど、子羊の中でも その子はパワーがあるようね |
|
けど、防御のほうは どうかしらね |
|
させない! | |
邪魔よっ! | |
ぐぅっ! | |
ノエルお姉ちゃん! | |
ダメっ! エヴェちゃん! 逃げて! |
|
遅いわね | |
きゃぁっ! | |
エヴェちゃん! このぉ! |
|
あらあら、やっと一人でも 攻める気になってくれたの? |
|
エヴェちゃん、大丈夫? | |
だ、だいじょうぶだよぉ。 ちょっとぴりぴりするけどぉ |
|
ぴりぴりって麻痺!? エヴェちゃん、すぐに回復を! |
|
そんな隙を与えるほど 私が優しい天使に見える? |
|
ノエルお姉ちゃん…… だめだよぉ。お姉ちゃんだけでも 逃げなきゃ…… |
|
心配しなくても大丈夫よ。 あなたたちの絆に免じて 仲良く消してあげるわ |
|
さようなら。最後に 一際綺麗な音を立てて 消えていってね |
第16話
掃討するのに時間が かかったわね。さっさと 悪戯娘のところへ行きましょう |
|
ノエルの心配してくれるの? ふふ、あんたも変わったわね |
|
……関わった奴がいなくなると 寝覚めが悪いだけよ。 それ以外の理由はないわ |
|
カーラ、嬉しいのはわかるけど、 エクレールをからかうのは やめなさい |
|
はいはい。まぁ、からかったって いうよりも、今のは本音を 言っただけなんだけど |
|
どっちでもいいわ。 それよりも、あんたたちは 助けにいかないの? |
|
エリスたちが向かっているから 心配はいらないわ。それに ノエルだって弱くはないもの |
|
弱くない? 今朝、あの子と デュエルをしたけど、 逃げてばかりだったわよ |
|
で、その逃げてばかりの相手に あんたは、一撃でも クリーンヒットさせられたの? |
|
それは…… だって、そんな…… まさか、わざと……? |
|
ノエルは元々不器用だったから エリスに防御中心の 立ち回りを指南されたそうよ |
|
最初は嫌々だったかもしれないけど …優しい子だからね。誰かを守れる ことに気づいて頑張ったのでしょうね |
|
それなら、もっと重装備に なるはずじゃないの? 防御中心なんでしょ? |
|
それだと素早い奴が相手のときに 戦いづらいでしょ |
|
自分の武器の守備範囲には 誰も近づけない。 それがあの子の戦い方よ |
|
それに、普通に考えても あの子が弱いわけないのよ |
|
○○とエリス | |
《攻略組》にも匹敵する力を持つ 二人と、ノエルは 『最初』から一緒にいるのよ |
|
ここはゲームの世界…… 同じパーティーにいれば 自ずと経験値は入ってくるわ |
|
あの子の強さは わかりづらいものだけど |
|
誰かを守るための強さなら、 あの子はエリスよりも上なのよ |
第17話
くっ──! | |
何? 武器がかすった? この私に……誰が? |
|
はぁっ! | |
かはぁっ! | |
……こいつ、 急に攻撃に、鋭さが……! |
|
ここは通さないよ! 絶対、絶対だもん! |
|
エヴェちゃん、 早く回復して! |
|
う、うん、わかった…… | |
思い通りにはさせないわよ! | |
そこっ! | |
くっ……! | |
武器の間合いぎりぎりで 強力な攻撃を…… |
|
けれど、懐に入ってしまえば! | |
ぐぅっ! | |
お返しだよ! | |
ぐあっ、はっ…… こいつ、体術まで使えるのか |
|
……くくっ、なるほどね。 見かけに騙されて痛い目に あわされてしまったわ |
|
ああ……憎らしい! 必ず滅ぼしてあげる!! |
|
あたしは負けないよ! どんな攻撃にも耐えてみせる! |
第18話
はぁはぁ…… やっと倒しきりましたの? |
|
いや、 まだ、奴らの足音が聞こえる…… |
|
連戦続き…… これじゃあノエルを 助けに行く余力はないわね |
|
……仮にすべてを倒しても この疲労感ではまともに 戦えませんわ |
|
それでもあたしは戦うぞ。 こんなところで へばってられるかってんだ! |
|
やるぞぉ! 戦闘だ、 であえであえい! |
|
え? メッセージ? エリスさんからですわ |
|
これは……ふふふ | |
何? どうしたの、ベティ。 エリスさんがどうしたの? |
|
……どうやら、 わたくしたちの出番は ここまでのようですわ |
|
なにぃ! どういうことだよ! |
|
あちらを見てください | |
カタカタカタカタカタ…… …………── |
|
何……? 骸骨たちが わたしたちを無視して 向こう側へ歩いていくわ |
|
なんだなんだ? 何がどうなってるんだ? |
|
フフ、わたくしたちには 何をおいても 駆けつけてくれる── |
|
そんな仲間が たくさんいるのですわ! |
第19話
カタカタカタカタ……… | |
ふむ。エリスに乞われて 来てみれば……なかなか おぞましい光景だな |
|
見渡すかぎり、骸の海。 せっかくのお花畑が、 まるで地獄の花園ね |
|
あっ、見てください! 向こうにベティちゃんたちが いますよ |
|
どうにか間に合ったようだな。 骸骨共もこちらに 向かってきている |
|
周辺にいた骸骨を倒したものね。 わたしたちに 狙いが移ったのでしょう |
|
それにしてもすごい数です。 ベティちゃんたち、 こんな大勢を相手に頑張ったんだね |
|
……ティールと言ったな。 あの骸骨共は主を倒さねば 無限に湧き続けるのか? |
|
そう考えたほうがいいわね。 この数、近くの主街区に 流れていったらかなり危険よ |
|
この場に留まって、侵攻を 食い止める──そういう作戦ですね |
|
そういうことだ。フン、 雑魚をいくら塵芥に変えても 武功を上げる事はできんが…… |
|
拙者は 友のためにこの刀を 振るうとしよう |
|
プリエル。 戦闘になるけど、大丈夫? |
|
はい。教会で対アンデッド用に 武器を祝福してもらいました。 問題ありません |
|
わかったわ、頼むわね。 フブキ、わかってると思うけど、 目的はあくまで足止めよ |
|
もちろんだ。だが、 すべて殲滅してしまっても、 文句はでまい |
|
ノエルのところへ エリスが辿り着くよりも早く、 片をつけてくれる! |
|
……血気盛んなのはいいけど、 無茶はやめなさいよ |
|
ティールさん、フブキさん! 骸骨が向かってきます! |
|
二人とも、今はこの戦闘に集中よ。 武器を構えて ──戦闘開始! |
|
おーーっ! |
第20話
はぁはぁはぁ…… まだまだ |
|
かなり体力を削ったのに まだ息巻いているのね |
|
もう充分よ。私相手に 一人でよく持ちこたえたわ |
|
後ろの子羊を見捨てれば あなただけ逃げ切ることも できたでしょうに |
|
それじゃあ今からでも、 二人一緒に逃がしてくれない? |
|
それは無理ね。 私は天使のように 慈悲深くはないのよ |
|
……ねえ、訊きたいことが あるんだけど |
|
あなたは普通のNPCとは違う。 自分で考えておしゃべりしてるし、 戦い方も戦闘中にどんどん変わってる |
|
あなたは一体何者なの? | |
何者? 私は私よ。 あなたたち人間をこの世界で 消滅させる役目を担っているわ |
|
戦わずにすむ方法はないの? | |
ふふふ、おかしな子ね。 戦わずに済む方法を 私は提案したはずよ |
|
攻略はやめられないよ。 あたしたちには帰らなきゃ いけない場所があるんだもん |
|
それなら交渉の余地はなしね。 私の居場所はここだもの |
|
それを壊そうとするあなたたちを 滅ぼさないわけにはいかないわ |
|
おしゃべりはここまでよ。 そろそろおしまいにしましょう |
|
……どうしても 戦うしかないんだね? |
|
くどいわよ。 私の決定は絶対なの |
|
そっか……ここまでか | |
さようなら、 悪戯好きの子羊ちゃん |
第21話
とりゃあ、これでもくらえ! | |
何っ!? 周囲が暗くなって…… これは煙幕!? |
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ふははははは! 暗くて何も見えまい! あたしの姿もわかんないよね! |
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………… | |
さぁさぁ、どこから 攻撃が来るかわからずに 怯えるがいいよ! |
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って、おわぁぁっ! | |
あなた、残念ね | |
せっかく視界を悪くしたのに 大声を出したら、 居場所が丸わかりよ? |
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種のわかったトリックに 興味はないわ。 消えなさい |
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し、しまった…… ひょえええええっ! |
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──なんてね。残念だけど、 悪戯ではあたしのほうが 一枚上手だったみたい |
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何っ──ぐあっ! | |
攻撃された。 まさか……!? |
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まったく…煙幕を張ったら、 私たちも位置がわからなくなる じゃないですか |
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ごめんごめん。 けど、二人ならうまくやって くれると思ってたよ! |
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救援!?……さっきの煙幕は 隠れるためではなく、私に 救援の接近を気づかせないため…! |
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ノエル、お待たせして すみませんね |
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本当だよ、すっごく待ったんだからね。 でも来てくれて嬉しいよ。 ありがとう、二人とも! |
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……勝った気でいるようだけど、 それっぽっちの戦力では 私に抗うこともできないわよ |
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勝敗を予測するのは構いませんが、 ボコボコにされても 文句はなしでお願いしますよ |
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○○さん、行きますよ! |
第22話
ぐっ── 一度ならず二度までも この私の顔に泥を塗るなんて |
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強い武器…… 奴を壊す強い武器を 探さなければ……! |
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逃がしませんよ! | |
くっ──ナイフを投げて 攻撃する術も心得ているのね |
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けれどね、私はまだまだ消えないわ | |
○○! | |
今ある生を精々謳歌することね。 私はあなたを滅ぼすまで追い続ける |
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ふふふ、次の再会は 絶望にまみれたものにしてあげるわ |
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……気配が消えた? こんなに早く? |
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今回のクエストは終了した、 ということでしょうか |
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できれば仕留めたかったですが… 一体何なんでしょうね、 このクエストは |
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うわぁぁん、○○、エリスぅー! | |
きゃぁっ! な、何ですか、 ノエル。いきなり飛びついてきて…… |
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やばかった! とってもやばかったんだよ! 怖かったよぉ |
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……よしよし。よく頑張りましたね、 ノエル。あなたのおかげで エヴェイユさんや皆さんも無事です |
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あなたはちゃんと強くなっていますよ。 皆さんを守れる強さを 手に入れたんです |
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強くなったね、ノエル/頑張ったね、ノエル | |
○○……! | |
ありがとぉ! 助けにきてくれてすごく嬉しかった! |
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次は負けないように、 あたし、もっと頑張るよ! |
第23話
──2日後 76層主街区・広場 |
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ひやぁぁぁぁ! エリス許してぇ! | |
そんなに怒らないでよぉぉぉ! 謝るからぁぁぁ! |
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……それで、これは何の騒ぎ? | |
ノエルが、辛子入りサンドを エリスにまた食べさせたそうよ |
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……アネット。わたし、 あの子が強いなんて 未だに信じられないんだけど |
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ふふふ……そうね、 普段のノエルの姿だけでは 誰も強いなんて思わないでしょうね |
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そうでなくても、 あの子の強さは 限定的なところがあるわ |
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あなたと違って盾を 持っていないから巨大な 相手には逃げないといけない |
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それに、斧の届かない範囲の敵… ブレスや飛び道具を使う相手には 一方的に負けてしまうわ |
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弱点多過ぎじゃない。 なんであの紫の武道家は あんなに評価してたのよ |
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カーラは一対一の戦い、 特に、接近戦に重点を 置いた考えをしているからね |
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確かに人型の、 それも接近戦のみの相手には、 ノエルはかなり強く出られるわ |
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堕天使のクエストのボスや、 100層で待ち構える最終ボス 相手にはしっかり戦えるはずよ |
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それ以外の相手には ああやって逃げ回ることしか できないってわけね |
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それを補うのも パーティーなんだと思うわ |
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フン、パーティーね | |
まぁ、堅い防御を崩すための 練習相手ができたと 思っておくことにするわ |
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ええ、構ってあげると、 ノエルもきっと喜ぶわ。 よろしくね、エクレール |
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しばらくの間だけよ。でも、 次のクエストでも力を貸すから ちゃんとわたしも呼びなさいよ |
第24話
はぁはぁ…… なんとかエリスから逃げ切ったよ |
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エリスってば、ちょっと辛いのを 食べさせただけなのに 鬼の形相で追いかけてくるんだもんな |
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さてと、それじゃあ もうちょっと遠くまで 逃げて── |
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あれ、○○ | |
はっ! まさか、 エリスに言われてあたしを つかまえに来たの!? |
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え、違う? そっかぁ、よかった |
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ねえ、○○ | |
この間のクエストのときは ありがとね。本当に助かったよ |
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でね、誰にも話してないんだけど、 あのクエストのときに ちょっと気になることがあったの |
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あのNPCのことなんだけど…… この間のクエストのときに 戦いながら色々話したんだ |
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普通のNPCって同じことしか 話さないよね? けどあの子は あたしの質問にも受け答えしてた |
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前にベティちゃんたちが 襲われたときもそうだったみたい |
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あたしたちが受けてるクエストも 内容がよくわかってないものだし |
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あの子も、何か特別な役割が あったりするのかな? |
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うーん…… ちょっと考え過ぎかな? |
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あ、でもまた襲ってきたら ちゃんとあたしも戦うよ |
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○○ | |
怖いことがあったけど、 あたしはまだ攻略を続けるよ |
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これからも 一緒に頑張っていこうね! |
- 最終更新:2017-12-26 23:32:22